うつ病の診断基準と、病院の選び方、治療費用はいくらかかる?

   

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036うつ病かも?と思ったら、まずはうつ病とはどんなものなのかを知る必要がありますが、うつ病は他の病気が隠れていたり、幾つかの疾患が重なっていることが多く、判断がとても難しい心の疾患です。そこで、うつ病の診断基準として広く使用されている二つの国際基準をご紹介し、あわせて受診する病院の選び方や、診察費用のご紹介をします。

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うつ病の診断基準に使われる国際基準とは?

『うつ病』の国際的な診断基準には2種類あります。
どちらも、症状による分類を行っています。

 

①アメリカの精神医学会が1994年に発行した『DSM-Ⅳ-TR 精神疾患の分類と診断の手引』

②WHO(世界保健機関)が発行している『ICD-10 国際疾病分類』

 

①のDSM-IVでは、『大うつ病性障害』といって、重いうつ病である可能性を探れます。原本の文言ではなく、親しみやすい表現に変えています。

 

下記の①から⑨のチェック項目の内、①か②のどちらかを含み、③から⑨の内5つ以上当てはまる場合に『大うつ病性障害』が疑われます。しかしながら、実際にはこれらに当てはまる人はおよそ5人に1人ほどです。

 

■■『DSM-Ⅳ-TR 精神疾患の分類と診断の手引』■■

(直近2週間を振り返り)

① ほとんど毎日、1日中ひどく憂うつを感じる。
② ほとんど毎日、1日中何をやってもつまらないし、喜びというものを感じない。
③ ほとんど毎日ひどく食欲がないか、逆にひどく食欲があり過ぎ、体重の増減が著しい。
④ ほとんど毎日ひどく眠れないか、逆にひどく眠り過ぎる。
⑤ ほとんど毎日イライラして仕方ないか、動きがひどく低下している。
⑥ ほとんど毎日ひどく疲れやすく、気力が減退している。
⑦ ほとんど毎日自分はダメな人間だ、悪い人間だと自分を責める気持ちになる。
⑧ ほとんど毎日思考力が低下し、集中力が減退し、決断力が落ちた状態である。
⑨ 死について繰り返し考え、自殺を口にしたり、自分を傷つける。

 

次に『大うつ病性障害』ほどではなく、多くのうつ症状を訴える方に当てはまる項目の多い、軽度のうつ病から診断できるWHOの『ICD-10』をご紹介します。下記のICD-10の大項目にいくつ当てはまるか?小項目にいくつ当てはまるか?により、その症状の重さを測ります。

 

■■『ICD-10 国際疾病分類』■■

(直近2週間を振り返り)

【大項目】
・抑うつ気分(落ち込んでいる気分)
・興味と喜びの喪失(興味を持てない、楽しめないという気分)
・易疲労感(疲れやすい)

【小項目】
・集中力と注意力の減退
・自己評価と自信の低下
・罪責感と無価値感
・将来に対する希望のない悲観的な見方
・自傷あるいは自殺の観念や行為
・睡眠障害
・食欲不振

診断
・大項目2つ以上と小項目2つ以上で症状が軽い→軽症
・大項目2つ以上と小項目3つ以上で一部の症状が目立つ→中等症
・大項目3つ全てと小項目4つ以上で、いくつか重症なものがある→重症

 

大抵のメンタルクリニックや、精神科、心療内科では、問診票を用いて上記のような項目をチェックしていきます。ただし、診断基準は大変複雑なもので、実際には医師により判断が任せられる部分が大きいのも事実です。

 

これは、医師は患者さんが来院された際には、問診だけではなく、入室してきた際の歩き方や座り方、姿勢や話し方、目線や表情など、実に多くの情報を患者さんの自己申告と共に同時に見て取っています。さらに現在では、脳波検査、血液検査、光トポ検査なども行う事もあります。

 

逆に言えば、自己申告のみだけで、簡単に『うつ病』ですね。と安易に薬を処方するクリニックよりは、より細かく患者を観察してくれるクリニックや心療内科の先生に出会えるほうが良いと言えます。

うつ病の病院選び方

うつ病疾患を治す名医は存在するのでしょうか?
うつ病は言わずと知れた、心の疾患です。
人間の心の疾患を観察し、診察し、適切な処方をしてくれるのも人間の医師です。

 

ある人にとっては素晴らしい名医であっても、ある人にとってはやぶ医者に映る。それが顕著なのが心を診察する医師ではないでしょうか。

 

■まずは通いやすいか?
うつ病の病院選びで必要なこと、それは第一に通いやすい事。どんなに名医との噂があっても気軽に通えないのでは続きません。

■自分と医師の相性
よく聞く話なのでここで、表記することも躊躇われますが、うつ病を治すためには、医師との『相性』が大変重要です。

 

ある意味、恋愛と似ているかもしれません。
話し方に、話を聞いてくれている間の視線の向け方や、相槌の間隔、物事のとらえ方の相性などや、先生のアドバイスが自分に響くかどうか、処方してくれる薬の合う合わないもあります。

 

同じ人間同士ですから、相性があるのは当たり前ですね。
正直なところ、管理人の姉は15年もの長い間、精神疾患を患い続け、その間病院は10以上変わりました。病院を変えた理由の多くは「先生との相性」です。

 

姉は看護師でしたから、病院やお医者さんの都合も充分すぎるほど承知の上でしたが、やはり、うつになった人にとっては話を充分聞いてくれる事が最も重要なのです。

 

形式的な質問だけで、薬の処方を変えたり、薬を増減されるのは不安が募るものです。ましてや心の病に特効薬はありません。どんな薬でも効果が表れるには時間がかかります。その効果が感じられるまで、その先生を信頼していられるかどうか?

 

もしかしたら、相性さえ合っていれば、同じ薬を処方されたずっと以前の先生の元で症状が改善していたのかもしれません。
ですが、そこはやはりその先生のアドバイスを信じようと強く思えなかったのでしょう。

 

心の疾患の最中に転院をするのは更なるストレスかもしれませんが、同じ医師の元で、数か月たっても症状が改善しない、心の状態が軽くならないといった場合は、思い切って他の医師を訪ねてみましょう。処方されるお薬が同じであっても、心の持ちようが変わり、改善していくことがあります。

 

私の姉のみならず、うつ病を患っていた方の大半が、医師を何度も変えたという方がほとんどで、相性の合う医師に出会えるまでに数年を要しているようです。ですから、初めての診察でいきなり相性の合う医師に出会える事はまれである事を心にとめておきましょう。

 

【うつ病を診てくれる病院は?】

では、具体的にどんな診療科目の病院に足を運べば良いのでしょうか?

・精神科(メンタルヘルス科・メンタルクリニック等)
うつ病をはじめとする心の病気全般を扱います。うつ病ではと思ったらまずは『精神科』の門をたたくべきです。

 

・心療内科
内科とあるように、身体的な症状が現れる「心身症」が主な心療対象ですが、実際には心の病気も扱う病院が増えています。医師の専門が内科であれば内科の診療プラスアルファで心の疾患も扱っている病院と、医師の専門が精神科である場合に、精神疾患をメインに、神経科などの疾患も見ているという場合があります。

 

注意が必要な診療科目としては、『神経内科』はうつ病を診る科ではないと覚えておきましょう。神経内科は精神ではなく、神経(脳や脊髄、筋肉、神経)等の疾患を扱う診療科目です。脳卒中や頭痛、パーキンソン病などの筋肉の疾患を扱います。

うつ病を治す費用はどれくらいかかるの?

うつ病を疑い、精神科の診察を受けようと思い立っても、気になるのはその費用ですね。風邪などで内科を受診するのは慣れていても、精神科はなかなか敷居が高くて、近所の人や知り合いにも聞きにくいものです。

 

■保険適用の場合の診察料
まず、保険適用される精神科や心療内科でのカウンセリング料金は初回が2300円前後。再診からは1500円前後。カウンセリング料金との表示はなく、『精神科専門療法』という保険項目になります。

 

薬が処方される場合は、お薬代は別途必要になります。
また、知っておいたほうが良い、「自立支援」の制度を利用すると、保険適用で通常3割負担ところ、1割の負担で済むようになりますので、長期の通院が多いうつ病と診断された場合は、この「自立支援」の申請を行っておいたほうが良いです。

 

自立支援医療は、精神疾患の通院の負担を軽減するための制度です。下記の疾患が対象となります。

 

・統合失調症
・うつ病、躁うつ病
・不安障害、神経症、パニック障害
・依存症
・PTSD
・知的障害、発達障害
・パーソナリティ障害
・てんかん
・その他の精神科の病気・障害

 

■自立支援医療の申請方法

・自立支援医療支給認定申請書
・医師の診断書
・健康保険証
・印鑑
・所得や収入を確認できるもの

以上のものを揃えて現住所の市区町村役所に申請しましょう。
まずは、地域の窓口の精神保健福祉担当課を訪ね、申請書や診断書などのカラの書類を受け取っておきましょう。申請方法などを詳しく教えてくれますので、それに従い必要なものを揃えましょう。

 

■保険ではなく、民間のカウンセラーを受診する場合

精神科や心療内科ではなく、民間のセラピストやカウンセラーを受診する場合は、高額になりがちです。
相場としては、初回カウンセリングが8,000円~10,000円。
二回目以降が5,000円~10,000円といったところでしょうか。

 

何度も民間のセラピストを訪ねると、お財布の負担が大きくなります。私の姉は初めの頃、通院するのを避けていたため、民間のカウンセラーなどにつき月10万円近く費やしてしまっていました。
まずは専門の医療機関で、診断を受ける事が再優先ですが、症状が改善してきたときや、まずは誰かに話を聞いてもらいたいなどの時には有効かもしれません。その際にはお財布との相談を忘れないように!

 

また、電話によるカウンセリングを行っているセラピストやカウンセラーの団体もあり、料金的にも手ごろなお試しの数十分からあり、まずは入り口として電話カウンセリングを受けてみて、人に話を聞いてもらうという経験をしてみるのも選択肢の一つです。


まとめ

うつ病はだれもがなる可能性のある心の疾患です。早期発見と、早期受診がうつ病から早く脱出する近道なのですが、病院への受診はなかなか敷居が高く、周囲へ相談もしずらいことにより治療が遅れがちになるのが多く問題になっています。一度受診してみると分かるのですが、実に多くの老若男女が通院しています。後ろめたさを感じる必要はなく、心の風邪かな?程度でもよいので、心の異変を感じたらまずは相談してみる事をお勧めします。

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