ナメクジ寄生虫がいる確率は?感染したらどうなる?野菜についていたら?
ナメクジが多く発生する季節になると、庭先だけでなく、家の中にも出てくる事があります。ナメクジには寄生虫がいることが知られていますが、その寄生虫がいる確率ってどのくらいあるのでしょうか?また、もしもナメクジの寄生虫に感染したら、どのような症状が出るのか?もしも調理中の野菜についていた場合はどうすればいいのか?などについてまとめています。
ナメクジに寄生虫がいる確率は?
ナメクジに寄生している寄生虫というのは、『広東住血線虫(カントンじゅうけつせんちゅう)』と言われるものです。
この広東住血線虫は、ネズミに宿っていることが知られていますが、ネズミの糞などに排出される第一期幼虫が、中間宿主であるカタツムリやナメクジ、アジアヒキガエル等が餌と一緒に捕食し、体内で第三期幼虫まで発育していきます。
さらに、第三期幼虫まで発育した広東住血線虫が寄生しているナメクジ類をネズミが捕食すると、中枢神経に第三期幼虫が移動していき、第5期幼虫まで発育し肺動脈へ移動して成虫となります。
では、この寄生虫が宿っているナメクジというのは、日本全国全てのナメクジに当てはまるのでしょうか?
実は国立感染症研究所の報告によりますと、広東住血線虫に感染したドブネズミやクマネズミが、沖縄県、奄美大島を含む南西諸島、鹿児島県、福岡県、広島県、愛知県、静岡県、神奈川県、小笠原父島を含む東京都、北海道など、各地で認められています。
ネズミだけではなく、アフリカマイマイや、スクミリンゴガイなどの貝や数種のナメクジから、第3期感染幼虫が検出された地域もあります。
最終宿主である、ネズミに自然感染しているのが全国各地で確認されていますので、その排泄物を餌として生息しているナメクジにも感染している可能性がかなり高いということが分かります。
確実に何パーセントの確率で、寄生虫がいるナメクジが存在する、と明確なデータは存在しませんが、まずもって身の回りに現れるナメクジは全て寄生虫がいると考えていた方が安全です。
ナメクジ寄生虫に感染したらどのような症状になる?
人がナメクジに寄生する広東住血線虫に感染し、何らかの健康被害が出たという症例が報告されています。
2003年8月現在の報告によりますと、日本では54例あり、沖縄県が少なくとも33例、本土が21例あり、本土の21例のうち15例が静岡6、神奈川2、鹿児島の各2、島根1、徳島1、 高知1、東京1、大阪1が本土内での感染と考えられえています。
全ての感染源がナメクジではなく、多くはアフリカマイマイ、アジアヒキガエル、ナメクジの順ですが、ナメクジは一般に広く多く目にする害虫ですので、注意が必要です。
【もしも人に感染したらどのような症状がおこる?】
平均16日間(2~35日)の潜伏期間を経た後、下記の症状を発生させる症例があります。
※全ての症状がおこるわけではありません。報告されている症例をご紹介しています。
■症状
・微熱~中度の発熱
・激しい頭痛
・頂部硬直
・悪心
・嘔吐
・脳神経麻痺
・筋力低下
・知覚異常
・四肢の疼痛
・複視
・運動失調
・昏睡
・死亡
上記の重篤な症状を除けば、2~4週間症状が続いた後に、自然に治癒して予後はよい傾向があります。
ただ、まれに失明や知能遅延やてんかんなどの後遺症が遺る場合がある。
■治療
現在特効薬はなく、対症療法のみとされています。
■感染予防
広東住血線虫の中間宿主である、カタツムリやナメクジ、ヒキガエルなどを生で食さない。生で食べる野菜サラダなども注意が必要です。
ナメクジ寄生虫が野菜についていた場合はどうする?
上記のように、寄生虫に感染したナメクジを食べたいと思う人はそもそもあまりいないはずですが、季節になると、家庭菜園で取れた野菜や、園芸のプランターなどにもナメクジが多く見つかります。
また、スーパーで購入したサラダ類、特にキャベツやレタス、サニーレタスなどの葉物類にはナメクジが潜んでいる事が多く、水洗いをする際に発見してしまうことも・・・。
そんな時は、ぬめりが無くなるまでよく洗うか、ぬめりが残っている部分を破棄してから使うようにしましょう。
また、生ではなく過熱して使用するには、感染する心配はありませんので、どうしても生で食べたくないけれど、破棄するのも忍びないという場合には、温野菜として食べるようにしましょう。
私は畑仕事をしますので、キャベツや白菜などの葉物を早朝に収穫すると、びっくりするような大きなナメクジに遭遇する事がよくあります。自分の体に入れるつもりで作物をつくっているので、農薬も使用していませんから、ある意味虫がついているのは当たり前でもあり、そんなに心配はしていません。
不要な部分をはがしていくと、中は綺麗な野菜が出てきます。実験的に農薬を大量にまいた部分の野菜には、さすがに虫も近寄らず、どちらを食べたいか?と聞かれれば迷わず、無農薬の虫も近寄る葉物です。
きちんと洗浄し、生で食す部分はきれいなところ。そうでない部分は過熱して調理するようにしています。
まれに、台所や、お風呂でナメクジが見つかることもありますが、歩いた場所はテカテカとして分かるので、洗剤やハイターなどで除菌し、衛生的に保つようにしています。
参考サイト
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_25.html
http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/5f/kanton.html
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まとめ
ナメクジはあまり好かれる虫ではありませんが、あまりにも当たり前に身の回りにいますので、季節になると注意が散漫になり、うっかり手で触ったりしてしまうことがあるかもしれません。寄生虫を考えると不安になるでしょうが、まずもって、生で直接食する事が無い限りは、感染する可能性は極めて低いものです。基本は土いじり、野生の動植物を触ったら必ず手洗いうがいをすること。それだけです。