菖蒲湯の由来と効能は?作り方とかぶれたり痒くなる原因
『5月5日の端午の節句には、菖蒲湯に入る。』と言われますが、その由来や菖蒲湯の効能にはどんなものがあるのでしょう?作り方と合わせて、菖蒲湯でかぶれたり、痒くなったりとトラブルになる原因を探ってみます。
菖蒲湯の由来と効能は?
【菖蒲湯の由来】
菖蒲湯の歴史って、かなり古くて中国まで遡ります。
病気や邪気を払う薬草と考えられていた菖蒲は、6世紀の中国最古の年中行事記にも、「人々が長寿や健康を願って用いていた」と記されています。
季節の変わり目に体調を崩す人が多いのは、今も昔も同じで、端午の節句頃はちょうど春から夏への移り変わりの頃。そこで、その季節に自生していた病邪を払う薬草である『菖蒲』を用いて体調を崩さないようにと伝承されていったのでしょう。
また、江戸時代の武家社会では、『菖蒲』と同音の『尚武(武道・軍事などを大切なものと考えること)』をかけて、5月5日を『尚武の節日』として祝うようになり、端午の節句とされたと言われています。
菖蒲湯のほかに、下記のような習慣がありました。
・菖蒲酒(解毒作用のある菖蒲の根を漬け込んだ酒で血行促進と打ち身の薬として)
・菖蒲枕(菖蒲湯を作る前日に菖蒲の枕で眠り無病息災を願う))
・菖蒲打ち(菖蒲を束ね地面に打ち付けて悪魔を封じ邪気払い)
・菖蒲切り(束ねた菖蒲でチャンバラごっこ。武道精進を願う)
【菖蒲湯の効能】
菖蒲は昔から病邪を払う薬草だと考えられていたのですが、どのような成分が含まれるのでしょう?
菖蒲には、血行の促進や保湿効果の薬効がある精油成分(アサロンやオイゲノール)が根の部分に多く含まれています。
端午の節句にお店で売られている尚武は葉が多いので、根の部分の薬効が必要な場合は、漢方を求めたほうが効果が高まります。
香りは独特で、その香りを楽しむだけでもリラックスできるアロマセラピーの効果を期待できます。
精油成分が肌に合わない方は、浴室で洗面器に菖蒲を漬けたり、枕の下に菖蒲を敷いて眠ったりして、香りだけでも楽しんで端午の節句の季節感を子どもに伝えるのも良いかもしれません。
菖蒲湯の作り方
湯船に菖蒲を入れるだけ。
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それだけ。
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でも、効能をタップリと味わうには、少し手を加えましょう。
アサロンやオイゲノールといった血行促進や保湿効果があるのは根や根に近い茎の部分です。リラックス効果のある香りが楽しめるのは葉の部分。
普段よりも少し高い温度の湯船に菖蒲を漬けておき、温度が覚めてから入浴するのがおススメです。
刻んで入れるとさらに濃厚な精油成分が出てきますが、ネットなどに入れて湯船に漬けるようにし、うっかり排水を詰まらせてしまいます。
菖蒲湯でかぶれたり痒くなる?
菖蒲湯に入ると、ピリピリしたり、赤いブツブツが出たり、痒くなったという方がいらっしゃいます。特にアレルギー体質である方の口コミが多い印象です。
菖蒲にはアサロンやオイゲノールという精油成分が多く含まれているため、その成分が肌に合わな方もいます。
古くから謂れのあるある伝統的な菖蒲湯でも、天然の植物ですから、どんな植物でも全ての人の肌にあうとは限りません。
お肌に異常を感じたら、体質的に合わないのでしょう。
例えば、スギ花粉に反応する方が杉の葉をお風呂に入れると大変な事になることは想像できますよね。ゆず湯やミカン湯、レモン湯など柑橘系の薬湯で肌が赤く痒くかぶれてしまう人もいます。
また、成分が変化してしまうので、沸かしなおしや、翌日の入浴もおススメしません。
敏感肌やアレルギー体質の方は、菖蒲湯のみならず、自然の薬湯に合う合わないが出てきますので、香りだけを楽しむつもりで、お湯を入れたバケツや洗面器に菖蒲をいれて浴室に置いておくだけでも、端午の節句の雰囲気を楽しめるのではないでしょうか。
まとめ
5月5日の端午の節句に、菖蒲湯に浸かって無病息災を祈願するという習わしは、菖蒲の持つ解毒作用や武士が好む『尚武』という言葉に由来し、その香りによっても悪疫を退けようとした民間療法ですが、中には肌に合わずにマイナスの印象を持つ
方もいるので、香りだけを楽しむ方法を取り入れれば敏感肌やアレルギー体質の方、小さな赤ちゃんでも、端午の節句の季節感を味わえるのではないでしょうか。